「好き」より先に、守りたい暮らしを考えた

「好き」より先に、守りたい暮らしを考えた

「好き」を仕事にできたら、どれだけ幸せだろう。そう考えたことがある人は、きっと少なくないはずだ。私もその一人だった。

「好きなSNSを仕事にできたらいいな」
「シナリオを制作した経験もあるし、書くことが好きだからライターを目指してみようかな」

当時の私は、好きなことなら頑張れるし、やる気さえあればきっと仕事にできると思っていたのだ。ところが、いざ動き始めると「どうすればいいの?」の連続だった。

SNSが好き。でも、仕事につなげるには?
ライターになりたい。でも、どうやって案件を獲得するの?
思い切って応募しても、なかなか採用されない。

「好き」がわかれば、やりたい仕事も自然と見つかると思っていた。でも、自分の理想とする働き方を考えたとき、それだけでは足りなかった。私に必要だったのは、「何が好き?」の答えではなかったのだ。

働けなくなって、初めて「働き方」を考えた

高校卒業後、地元の卸売市場で営業として働き始めた。忙しい日々だったが仕事にはやりがいを感じ、結婚・第一子出産後も営業を続けるつもりでいた。

しかし、復職後に突然別部署への異動を命じられる。「仕方ない、頑張るしかない」と自分を奮い立たせたものの、慣れない仕事と初めての育児が重なり、次第に心身に不調が現れた。

そして私は適応障害を発症し、休職することになった。

休職中に第二子を妊娠。復職を考えていた矢先、生まれてくる子どもに心疾患があることがわかった。保育園への入園も難しく、私はそのまま会社を退職。

夫とともに農家として働く道を選んだ。

りんごもぎの様子

それまでの私は、毎月決まった収入が得られる会社員こそ「安定」だと思い、苦しくても働き続けていた。しかし農業は時間の融通が利く一方、収入は年によって変わる。

「このまま家族4人で生活していけるだろうか」という、収入面での不安が生まれた。

収入は安定させたい。でも、子どもに何かあれば一番そばにいたい。その両方を望むのは、欲張りなのだろうか。

葛藤するなかで初めて、「私にとっての安定って何だろう」と考えるようになった。あなたにとって「安定」とは、どんな状態だろうか。

「何がしたい?」より、「どう生きたい?」だった

在宅の仕事を探し始めた頃の私は、「好き」を仕事にすることばかり考えていた。しかし、自分が本当に望む働き方を改めて考えたとき、ようやく気づいた。

「好き」だけでは、理想の生活にはたどり着けない。私が本当に叶えたかったのは、「好き」を仕事にすることではなかった。

「好きなように」働くことだったのだ。

子どものそばにいること。
夫と農家を続けること。
そして、自分自身の収入をつくること。

この3つを諦めないことこそ、私が求めていた生き方だ。

子どもたちと一緒に畑仕事

キャリアを考えるとき、「何がしたい?」「何が好き?」から答えを探す人は少なくないだろう。私もそうだった。でも、やりたいことがそのまま理想の生き方につながるとは限らない。

だからこそ、「何を仕事にしたい?」の前に「自分はどう生きたい?」と考えてみてほしい。

理想の暮らしを思い描いてみると、今の自分に必要なことや、進みたい方向が少しずつ見えてくるかもしれない。

あなたがこれからも大切にしたいのは、どんな毎日だろうか。

「好き」だけで選ばなかったら、知らない自分がいた

理想の暮らしを叶えるには、時間や場所にとらわれず働ける力が必要だ。

そう考えた私は、農作業が落ち着く冬の時間を将来の収入につなげようと、在宅の仕事を探し始めた。

しかし、クラウドソーシングサービスの募集要項に並ぶ「ポートフォリオ」という言葉を見ても、「それって何?どうやって作るの?」と疑問ばかり。仕事を得る以前に、私には知識もスキルも足りていないことに気づいた。

そこで、まずは学ぶことから始めようと、いくつものスクールを調べて出会ったのがSHElikesだった。もともと興味のあったSNSやライティングを学べることに惹かれ、「今の自分を変えるならここかもしれない」と入会を決めた。

学習中の様子

入会して驚いたのは、学べる分野や挑戦できる機会の多さだった。

「せっかくなら、いろいろ吸収しなければもったいない」

そんな気持ちから、当初の目的だったSNSやライティングだけでなく、それまで興味のなかった分野にも手を伸ばした。

さらに、イベントの企画や運営など、これまで経験したことのない役割にも挑戦。学習の合間に楽しめるイベントを企画したり、告知バナーやイベントで使うスライドを作ったり。どれも入会前の私なら、「自分にはできない」と思っていたことばかりだった。

初めて制作したバナー

すると、「意外と私、いろいろできるんだ」と思える瞬間が増えていった。なかでも大きな発見だったのは、何かを企画し、人と一緒に形にしていくことを楽しいと思えたことだ。

もし「好き」だけを基準に選んでいたら、こんな自分にはきっと出会えなかっただろう。好きだから挑戦するだけではない。

まずやってみることで、新しく好きになれるものや、自分でも知らなかった可能性に出会えることもあるのだ。

私が探していたのは「好きな仕事」ではなかった

私は今、「子どものそばにいながら、農業を続け、自分の仕事も持つこと」を大きな柱に、学びを続けている。

以前は「好き」を基準に、ライターになることやSNSの仕事をゴールにしていた。

しかしSHElikesでさまざまな学習や経験を重ねた今は、ライティングもデザインもできるマルチクリエイターとして、仕事の幅を広げていきたいという目標ができた。。将来は、自分のスキルや経験を活かして、困っている人や不安を抱える人に寄り添えるサービスもつくりたい。

では、今の私が実際に案件を獲得できているのか。

答えは「まだ」だ。

以前の私だったら、早く案件を獲得して「好きを仕事に」を形にしなければ、と焦っていただろう。でも今は、すぐに答えを出すことだけが大切ではないと思っている。

いろいろなことを試しながら、自分の得意や可能性を知り、自分らしいキャリアをつくっていく。私はまだ、その途中にいる。

私が探していたのは「好きな仕事」という一つの答えではなく、守りたい暮らしを諦めずに、自分の可能性を広げ続けられる働き方だったのだ。

……とはいえ、そろそろ案件を獲得したい、というのも本音ではある。

「好き」よりも先に考えてみてほしいこと

「好きなことが見つからない」
「やりたい仕事がわからない」

そんな悩みを抱えているなら、無理に答えを探さなくてもいいと私は思う。

その代わりに、

「自分はどんなふうになりたい?」
「どんな毎日を送りたい?」

と、少し考えてみてほしい。

家族との時間を大切にしたい。好きな場所で働きたい。今より収入を増やしたい。きっと何か一つは思い浮かぶはずだ。

そして、思い描いた暮らしに近づくために、今までやったことのない何かを一つ試してみてほしい。好きだから挑戦するだけじゃない。挑戦した先で、新しい「好き」や、まだ知らない自分に出会うこともある。

「好き」よりも先に、自分が守りたい暮らしを考えてみてほしい。

パパの仕事を応援する子どもたち

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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 西塚彩巴さん)

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。