チャーミングで可愛らしい笑顔を浮かべ、動くたびにきらっと光るアクセサリーをまとったTerakoさん。
彼女がキャリアチェンジを考え始めたのは、社会人12年目の産休中のこと。

Story
絵を描くのは昔から好きだったが、大人になるにつれて絵は「評価されるもの」へと変わり、友達へのバースデーカードに添える程度に留めていたという。
周りの友人にはリモートで働くデザイナーもいたが、美大を出ていない未経験の自分がイラストやデザインで生計を立てられるとは思えなかった。
しかし、知り合いのアーティストの個展に足を運んだある日、思わぬ刺激を受けたという。そしてそこでの友人の一言で、Terakoさんはイラストのアカウントを開設する。
「絵なんていくら描いても自由なんだから、やりなよ」

▲2018年に描いたイラスト
イラストの発信を始めると、アイコンやチラシのデザインの仕事が少しずつ舞い込むようになった。
しかし、「お金をもらうほどの技術はない」という思い込みから、なんと最初は無料で引き受けていたという。
謝礼を払いたいと言われても、引け目を感じて断るか、せいぜい1000円を頂く程度。
自分の中に眠る「得意」や「好き」が、どれほどの価値を持つのかを測るのは、難しい。
果たして自分のアウトプットが人からお金をもらうに値するのか、知人からの頼まれごととプロとして受ける依頼との境界線はどこにあるのか――。
その曖昧な境界線に彼女は何度も足を止め、考え込んでしまったのだろう。

「友人から飲食店のメニューを頼まれたときに、独学の限界を感じたんです……トンボ(印刷物のカット位置を示すマーク)が何かもわからなくて」と彼女は振り返る。
イラストを納品するだけなら問題はなかったが、メニューやステッカーのデザインを入稿する際の具体的なノウハウがなかった。
それまではiPadの無料お絵かきソフトでなんとか作っていたものの、プロの現場で必要とされるIllustratorやPhotoshopといった本格的なデザインツールの使い方はわからず、彼女は独学では乗り越えられない壁にぶつかったのだ。

CareerChange
SHElikesの存在を知り、半信半疑のまま体験レッスンに参加した彼女。
そこで出会ったのは、まさに自分と同じような境遇からデザインの道に進み、成果を出している身近な実例だった。会費の元を取るまでの具体的な道筋や、その先のイラストやデザインを仕事にするまでのリアルなステップ。
「入会して最初の頃が一番焦っていましたね。とにかく早く絵を仕事にしなきゃ、うまくならなきゃ、と近道したくて」

SHElikesのデザインコンペに入選して喜んだのもつかの間、その喜びは打ち上げ花火のように弾けて消え、燃え尽き症候群に陥ってしまったという。
どのコースを受講しようか、コース一覧のサムネイルを見てはPCを閉じ、上達している気がしない自分に焦る毎日。
「私はこれからどうしたいんだろう」
そんな疑問が頭の中で渦巻き、コースのサムネイルを眺めては手が止まる。
最短でうまくなりたいという焦りが、かえって彼女の動きを鈍らせてしまったのだ。
「デザインの課題提出も、最初は苦戦しました。配置や写真の選び方の正解がわからなくて、ただ時間だけが過ぎていく」
美しいイラストを描けることと、デザインの技術を身につけることはまったくの別物なのだ。

Terakoさんは絵の技術でモノづくりに携わりたいという情熱を抱いていたが、その道筋は“描き方”だけではなく、デザインの作法や手の動かし方を学ぶ過程でもあった。
最初は、自分の作品を人に評価してもらうのがとても怖かったという彼女。
しかし、現役デザイナーからのフィードバックは予想以上に丁寧で、改善点を言語化されることで、一気に視界が開けたと振り返る。否定されるのではないかとビクビクしていた彼女だったが、受けてみると「なんだ、意外と大丈夫じゃん」と、すっと肩の力が抜けたという。
恐怖よりも「こうすればもっと良くなる」という気づきの感動が彼女の心を動かした。
彼女を縛りつけていた「どうせ私なんて」の壁は、その瞬間から少しずつ溶けていったのだ。
Terakoさんの描く絵は、音や熱が漏れてくるようなエネルギーに溢れている。
鮮やかなビタミンカラーや淡いパステルカラーが組み合わさった一つひとつの作品。
人物や動物の絵からは小さな笑い声や鳴き声が、海の絵からはもわっとした熱気と爽やかな潮風の香りが吹いてくるような魅力がある。

絵を描くことが好きで、その才能を活かしてきた彼女でさえ、SNSでセンスあふれる絵や美大出身のアーティストの作品に触れるたびに自信を失い、心が沈んでいたという。
「以前の私は“できないこと=悪いこと”だと思っていました。公にイラストの仕事を募集するのも、人に自分のイラストを見せるのも恥ずかしくて」と振り返る。
センスがない私は、どうせプロになれない。
足りない私は、始めちゃいけない。
そんな自己否定の声が聞こえたのだろう。
痛いほどわかる。
才能あふれる人たちの輝きに触れると、まるで自分が取るに足らないちっぽけな影のように感じられ、隠れてしまいたくなるものだ。誰かの成功や完成度の高い作品を目にするたびに、そこに届かない自分が情けなくて仕方ない。
「でも、描くことや作ることを仕事にしている人と話す機会が増えるうちに、今すごそうに見える人たちも最初は描けなかったんだ、みんな未経験で初心者だったんだ、という本当に当たり前のことに気づいたんです」

Terakoさんには、自分なりの“もやもやのセオリー”がある。
彼女がもやもやしているときは、決まって手も足も止まっているときだという。
「とにかく手を動かして、少しでも行動すれば、消化不良の気持ちがマシになるんです」
一日でも早く成果を出さなければ、という焦りから解放された彼女は、また手を動かし始めた。

Challenge
SHElikes入会から半年も経たない内に、彼女は副業でSNSコンテンツを作成していたフェムケアのメーカーにインハウスデザイナーとして就職する機会をつかむ。
だが、採用されたとて社内のデザイナーは自分一人だけ。未経験の自分が入っていいのか、むしろ会社に迷惑をかけるのではないかと二の足を踏んでいた。
そんなとき、同時期にSHElikesに入会した受講生からの「やる前の言い訳じゃん。Terakoちゃん本当はやりたいんでしょ?」という言葉にぐっと背中を押された。

▲Terakoさんが主催する「Meditation ART workshop」
そう、やりたいことに手を挙げるのはタダ。
技術や能力に価値を見出し、お金を払うか決めるのは相手側の判断だからだ。
そのシンプルな事実を胸に刻み、彼女は思い切ってポートフォリオと職務経歴書を提出した。
結果は採用。
現在の仕事について尋ねると、彼女は「大変だけど楽しい」と目を輝かせた。
各プロダクトの訴求ポイントをゼロから考え、製品の紹介文からパッケージデザインまで一手に担うのだ。
「入社1ヶ月後、有名な大手雑貨店に置く什器を作る仕事を頼まれたんです」
会社の顔ともなる什器の制作。
半年前はトンボの意味さえ知らなかった彼女が、大勢の人の目に触れるものをデザインするという大役を任されたのだ。
「実物を見た瞬間、感動しちゃいました」
画面上のデータが立体となり、人々の目に触れる瞬間。自分の作品に命が吹き込まれたような感動があったに違いない。

Afterword
本業と並行して、彼女は現在も副業でイラストの仕事を続けている。
週2日の出社という柔軟な働き方のおかげで、子どもの急な発熱にもすぐに対応できるそう。
育児、家事、本業、副業、さらに自身で主催するワークショップと、てんこ盛りの毎日だが、彼女にとっては“楽しい修行期間”だという。


「技術や経験が足りないから」「他にすごい人がいるから」と、自分の作品に値をつけることや評価される場に立つことをためらっていたTerakoさん。
かつてはSHElikesのメディアに掲載されているロールモデルの記事を読むたびに、複雑な気持ちになったという。
感化され、憧れる一方で、自分がその道に立てる未来があるとは思えなかったからだ。
いざ自分がそのロールモデルとして掲載される日がやって来たときには、
「あ、本当にこんなことってあるんだ」と、思わず笑ってしまったという。
自分で打ち立てた「どうせ」の壁が、気づかないうちに静かに崩れ去っていたことが可笑しかったのだろう。
足りないと思っていたものは、自分の成長が広がっていく余白だった。
できない、足りない、届かない。
その現実は誰もが通る点のひとつで、諦める理由にはならないのだとTerakoさんに教えてもらった気がした。

( STAFF )
ライター/ジェラシーくるみ
編集/橋本 恵梨奈
デザイン/久利 岬希
実装/阿部 美穂
ABOUT SHElikes
私らしい働き方に出会える
女性向けキャリアスクール
SHElikes(シーライクス)は、Webデザインやマーケティング、ライティング、動画編集など、50以上の職種スキルをオンラインで学べる女性向けキャリアスクールです。学習だけでなく、コーチングや仕事に挑戦できる機会を通して、その先のキャリアまでサポートします。
SHElikesで理想の働き方を見つけませんか?
今なら補助金で受講料最大 70% 還元
SHElikesについて詳しく見る