

「IT系の仕事にはどんな職種があるのかな?」
「ITというとエンジニアの印象が強いけれど、ほかにはどのような仕事があるのだろう?」
このような疑問を抱いている方は少なくないでしょう。結論からいうと、IT系の仕事にはエンジニアはもちろん、ほかにもさまざまな職種があります。
そこで本記事ではIT系の仕事ができる職種や業界を解説。また後半ではIT系の仕事に必要なスキルも紹介します。
IT系の仕事について知りたい方やIT業界への就職を目指している方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
IT系の仕事とは?
ITは「Information Technology(情報技術)」の略で、主にコンピューターやインターネット通信などに関する技術のことを指します。そのため、IT系の仕事というとエンジニアやプログラマーなどのイメージを抱く方もいるでしょう。しかし、仕事内容はさまざまで、主に「上流工程」「下流工程」「運用と保守」「営業」の4つに分けられます。それぞれの業務内容は、以下の通りです。
- 上流工程:システムの要件定義や設計を担当。クライアントが求めるシステムについてヒアリングし、システムの構成や構造を設計してプロジェクトを管理する。
- 下流工程:上流工程で決められたプランに基づいてプログラミングをし、システムを開発する。
- 運用と保守:システムが正常に機能するように点検や調整、サポートをする。また、クライアントと定期的に連絡をとり、アフターケアを行う。
- 営業:取引先を訪問し、システムについての説明や質疑応答をする。また、顧客が抱えている課題を解決するようなサービスを提案する。
上記のように、IT系にはエンジニアやプログラマー以外にもさまざまな仕事があります。
IT系の仕事ができる職種は大きく分けて5種類
IT系の仕事ができる職種は、主に「エンジニア・開発系」「マネジメント系」「営業・研究系」「クリエイティブ系」「運用・サポート系」の5つに分けられます。各職種の業務内容や必要なスキルなどを紹介するので、IT系の仕事に就きたい方は参考にしてみてください。
エンジニア・開発系
エンジニア・開発系には、プログラマーやシステムエンジニアなどが当てはまります。設計図をもとにプログラミングをし、クライアントのニーズを満たすシステムやWebサイトを開発します。
プログラマーやシステムエンジニアの仕事をするなら、以下のJavaScriptやPythonなどのようなプログラミング言語の知識が必要です。
- JavaScript:Webページで、ポップアップやスライドショーなど動きをつけたいときに使う。
- Python:Webアプリやスマホアプリの開発などに使う。また、データの自動分析も可能。
加えて論理的思考力も必要といえるでしょう。理由は、顧客が抱える課題やシステム開発の目的を正しく理解したうえでプログラミングができないと、クライアントの課題を解決できるシステムの開発が難しくなるためです。
マネジメント系
マネジメント系の例としては、プロジェクトマネージャなどがあげられます。プロジェクトの責任者としてクライアントのニーズをもとに目標を定め、チームの指揮をとってシステム開発の全工程を管理します。
多くの人をまとめつつプロジェクトを進めるため、コミュニケーション力は欠かせません。また各分野の担当者とやり取りします。プロジェクトに応じてプログラミングやデザインなどの実務経験や最低限の周辺知識を身につけておく必要があるでしょう。
営業・研究系
一般的にIT系の営業職はITを用いたプロダクトなどの提案や販売を担当し、納品後はアフターフォローを行います。情報システムに関する知識をもとに営業活動をするため、営業スキルはもちろんIT関連の専門知識も身につける必要があるでしょう。
また、IT系の研究職には「R&D(Research and Development)」があります。たとえば、通信速度の高速化や大量のデータを処理する方法などについての研究をします。「R&D」の仕事には、システム開発のスキルや先端技術に関する知識が欠かせません。理由は、研究を通じて新しい商品・サービスの実現に必要となる新技術を生み出すことが求められるからです。
クリエイティブ系
クリエイティブ系もITに関する仕事に含まれます。具体的な例としてはWebデザイナーなどがあげられるでしょう。HTMLやCSS、JavaScriptといった言語やデザインの知識などを用いてクライアントが求めるWebサイトを制作します。
- HTML:サイト内の文章を構造化し、見出しや本文などを明確化する
- CSS:色やサイズ、レイアウトなどを調整する
- JavaScript:ポップアップやスライドショーなど、サイトに動きをつけたいときに使う
Webデザイナーには、上記のような言語の知識に加えて配色やフォントなどデザインの知識も必要です。またPhotoshopやIllustrator、Figmaなど、デザインソフトが使えるとよいでしょう。
ちなみに、Webデザイナーの仕事は前述したプログラマーと似ている部分もありますが、制作するものは異なります。Webデザイナーはサイトの文字やレイアウトなど、いわば表側を作ります。一方でプログラマーやエンジニアなどは、アプリのシステムのような裏側も制作することが一般的です。
運用・サポート系
運用・サポート系の仕事は、システムが正しく稼働するように管理や点検などを日々行うことです。故障やトラブルが発生したときは、復旧作業を行います。また、ヘルプデスクを担当するのも仕事の1つで、顧客や自社の社員からの技術的な問い合わせに電話やメール、チャットなどで対応します。
システムの維持とトラブルの解決を担うため、運用・サポート系の仕事では技術面に関する豊富な知識が必要です。もちろん、コミュニケーション力も欠かせません。
IT系の仕事ができる業界は主に5つ
続いて、IT関連の仕事ができる業界を5つ紹介します。「ソフトウェア」「ハードウェア」「通信サービス」「インターネット・Web」「SIer/SES」について解説するので、それぞれの特徴をチェックしてみてください。
ソフトウェア
ソフトウェアとは、コンピューター上であらゆる処理を行うプログラムです。本業界では、ゲームやスマホアプリ、法人向けのシステム、家電製品など、幅広い分野を対象にソフトウェアを開発します。近年ではインターネット経由でソフトウェアを提供する「クラウド化」が普及しており、常に最新版のソフトにアップデートすることが可能です。
なお、開発方法は主に2つで、クライアントの要望に沿ってソフトウェアを開発する「受託開発」と、ユーザーのニーズを分析して自社製品として販売する「パッケージ開発」があります。
ハードウェア
ハードウェアとは、機械や端末などの実物を指します。スマートフォンやパソコンなどの企画や設計、開発がハードウェア業界の主な仕事の1つです。例としては、電子回路の設計や、機器の動作を制御するためのシステム開発などがあげられます。
ちなみに、最近はドローンやVR(仮想現実)のような新しい技術が誕生しており、ハードウェア業界の活躍の幅は広がっているといえるでしょう。
通信サービス
通信サービス業界の仕事の1つは、インターネットや電話、無線などの通信インフラを提供することです。通信サービスは大きく3つに分けられ、「固定通信」「移動体通信」「ISP(インターネットサービスプロバイダー)」があります。
- 固定通信:固定電話やパソコンを使った通信サービスなど
- 移動体通信:携帯電話やブロードバンド無線アクセスなど
- ISP:インターネット接続サービスのこと
スマートフォンの普及に伴ってインターネットの利用者数は増加傾向にあるため、特にインターネット環境の整備は通信サービス業界には欠かせないといえるでしょう。
インターネット・Web
インターネット・Web業界の主な仕事は、WebサイトやECサイト、SNSなどインターネットを利用したさまざまなサービスの開発や提供をすることです。職種は、Webサイトの制作を担うWebデザイナーや、システム開発を担当するエンジニアなどがあります。
現代の人々は検索や連絡、買い物、動画視聴などあらゆる行動にインターネットを利用します。そのため、インターネット・Web業界では人々の生活の基盤を作る仕事ができるといえるでしょう。
SIer/SES
SIerとSESは、銀行のATMや物流管理システムなど、生活やビジネスで使われるサービスを支える情報システムの構築や運用を担います。SIerとSESには共通点もありますが、主な違いは以下の通りです。
- SIer:「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、システム開発の要件定義やシステムの設計と開発、テスト、運用などを担う。
- SES:「System Engineering Service」の略で、SES企業が顧客に技術者を提供する。クライアント先に常駐してシステム開発に従事する場合もある。
要するに、SIerはシステムの開発や運用などを請け負うのに対し、SESはクライアントにエンジニアを提供します。
IT系の仕事における年収の例
IT系の仕事は多岐にわたるため、職種によって年収は変わります。厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、主な職種の年収は以下の通りです。
職種 | 年収 |
---|---|
Webデザイナー | 約480万円*1 |
プログラマー | 約550万円*2 |
システムエンジニア | 約550万円*3 |
Webディレクター | 約580万円*4 |
ITプロジェクトマネージャ | 約660万円*5 |
ITコンサルタント | 約660万円*6 |
また、「フリーランス白書2020」によると、年収800万円以上のフリーランスのうちエンジニア・技術開発系が占める割合は約30%*7です。一方、クリエイティブ・Web・フォト系は400〜800万円未満で約24%*7を占めています。
IT系の仕事に挑戦するために必要なスキル
IT系の仕事にチャレンジするためには、主にITの基礎知識・専門技術・コミュニケーション力の3つが必要です。各スキルの詳細や身につける方法を解説するので、IT系の仕事を目指したい方は参考にしてみてください。
ITに関する基礎知識
IT系の仕事をするなら、IT関連の基礎知識は欠かせません。プログラミング言語やシステム開発などの基礎知識を身につける必要があります。加えて、ITは進化を続けているので、常にIT業界の動向をチェックしておくことも大切です。たとえばAIや5G、クラウドサービスなどの知識を常にアップデートする姿勢が求められるでしょう。
なお、ITに関する知識は書籍やスクールなどで身につけられます。スクールには通学するタイプとオンラインで学習するタイプがあります。オンラインスクールなら時間や場所を問わず勉強が可能です。
たとえば、SHElikes(シーライクス)には「Webデザイン入門」や「プログラミング入門」など、ITに関するさまざまな基礎知識の習得を目指せる環境が整っています。
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専門的な技術
IT系の職業に就くなら、ITの基礎知識に加えて専門的な技術も求められるでしょう。プログラミング言語を用いてシステムやアプリを開発したり、STUDIOやFigmaなどのソフトを使ってWebサイトのデザインをしたりなど、開発や制作を行う能力が必要です。
実践的なスキルは本でも身につけられますが、スクールでプロから教えてもらうほうが効率よく学習できます。ITに関する専門的な技術の習得を目指すなら、スクールを検討してみてください。
コミュニケーションスキル
IT系の仕事というと、パソコンに向かって一人で作業するイメージを持つ人もいるでしょう。一方でITの仕事にはコミュニケーション力は必要といえます。理由は、クライアントやチームのメンバーと関わり合いながらプロジェクトを進めるからです。
たとえば、システム開発をするなら、クライアントにヒアリングをしたり営業担当から顧客の課題を聞いたりして設計図を作成する必要があります。また、プロジェクトのリーダーになった場合、チームメンバーをまとめる能力は欠かせません。IT系の仕事をするなら、コミュニケーション力は専門的な知識や技術と同様に大切といえます。
IT業界への就職・転職で役立つ資格
最後に、IT業界への就職や転職を目指すうえで役に立つ資格を4つ紹介します。資格があると、自身の知識やスキルのアピール材料となるため、就職・転職活動に活かせるでしょう。今回は「ITパスポート」「プロジェクトマネージャ試験」「基本情報技術者試験」「CCNA」について解説するので、IT業界で働きたい方は参考にしてみてください。
ITパスポート
ITパスポートはIPA(情報処理推進機構)が実施している国家資格で、ITに関する基礎知識の保有を証明する資格です。試験では、セキュリティやネットワークなどITの知識はもちろん、AIのような新技術や経営戦略、マーケティングなど、幅広い分野の知識が問われます。ITパスポートがあれば、ビジネスシーンに活かせるITの知識やスキルを身につけていると企業にアピールできるでしょう。
ちなみに、ITパスポートの勉強法については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:最短でITパスポート試験に合格!おすすめの勉強法を徹底解説
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験もIPAが実施している国家資格の1つです。システム開発のプロジェクトにおいて、目標の実現に向けてマネジメント業務を担う人を対象にしています。
高度なITスキルや専門知識、マネジメントスキルなどが要求されるため試験の難易度は高く、IPAの統計情報によると令和4年度の合格率は14.1%*8です。難易度は高めですが、資格を取得できるとプロジェクトマネージャに必要な知識やスキルを保有していることの証明になり、より上流工程のような仕事を任されやすくなるでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験もIPAが実施している試験で、ITを活用したシステムや製品、ソフトウェアなどの制作に必要な知識と技能を習得した人を対象にしています。要は、システムエンジニアやプログラマーなどのキャリアを積んでいくうえで最初に取得しておきたい資格です。
具体的には、IT全般の基礎知識や要件定義、システムの設計・開発・運用などの知識が求められます。ちなみに令和4年度秋期の合格率は35.6%*8です。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
CCNAは、コンピュータネットワーク機器開発の大手「シスコシステムズ」さんが実施している資格試験です。ネットワークやセキュリティなどの知識が問われるため、取得するとネットワークエンジニアに必要な知識やスキルを保有していることを証明できるでしょう。
ちなみに、ネットワークエンジニアの主な仕事はコンピュータネットワークの構築や管理などを通して安定した通信環境を整備することです。ネットワークエンジニアとしての活躍を目指すなら、CCNAの取得をおすすめします。
ITに関するスキルや資格を身につけて、IT系の仕事をしよう
IT系の仕事は、プログラマーやエンジニアはもちろん、営業や研究、サポートなど多岐にわたり、さまざまな業界で必要とされる重要な職種です。職種によって業務内容は異なりますが、どの仕事をするにしてもITの知識や専門技術などの習得は欠かせません。しかし、裏を返せばIT関連の知識やスキルを身につければ、幅広い業界で活躍できる可能性が広がるといえるでしょう。
IT系の仕事をするために必要なスキルを身につけたい方は、オンラインスクールのSHElikesをチェックしてみてください。WebデザインやWebマーケティングのようなIT関連のスキルはもちろん、「プロジェクトマネジメント」「Webディレクター」なども学習できます。
IT分野での活躍を目指したい方は、まずは無料体験レッスンに参加してみてはいかがでしょうか?
※出典
*1:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」Webデザイナーの平均年収より
*2:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」プログラマーの平均年収より
*3:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」システムエンジニアの平均年収より
*4:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」Webディレクターの平均年収より
*5:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」ITプロジェクトマネージャの平均年収より
*6:厚生労働省「職業情報提供サイトjobtag」ITコンサルタントの平均年収より
*7:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
「フリーランス白書 2020」第 2 部 クロス集計より
*8:IPA(情報処理推進機構)「統計情報」より