

商品やサービスの認知拡大やブランディング、販売促進の方法は多岐に渡りますが、特に効果的な手法があります。それが「コピーライティング」です。質の高いコピーは商品やサービス、さらには企業自体の印象を大きく左右します。
この記事では、「コピーライティングとは何か」という疑問にお答えし、コピーライティング上達のコツをご紹介します。
コピーライティングは様々なビジネスで役に立つスキルですので、ぜひ参考にしてくださいね。
コピーライティングとは?
コピーライティングとは、言葉や文章を用いて読み手の気持ちを刺激し、行動変容を促す技術です。
セールスライティングと同様に特定の行動を促すことが目的ですが、コピーライティングは商品やサービスの知名度向上や、良いイメージ作りにも焦点を当てています。インターネットの普及により、Web上においてもコピーの重要性は増しており、コピーライティングのスキルはビジネスだけでなく、SNSなど日常生活でも役立てることができます。
コピーライティングの本質は、読者の心を動かし、共感を生み出す力にあります。言葉の選び方や心理学的な知識が求められることもありますが、重要なのは一言で相手を引き込む力です。
たとえば「私、誰の人生もうらやましくないわ。」(松下電器産業 / SINGLE STAGE)という児島令子さんのコピー。短い言葉の中に、ユーモアを持って“一人”の人生を歩む女性の想いが詰まっていて、一目見ただけで心を掴まれ、価値観を揺さぶられます。
このように、コピーライティングは読者の心を捉えるための、魔法のような言葉を見つける技術なのです。
コピーライティングとセールスライティングの違い
コピーライティングとセールスライティングの違いについて考えてみましょう。
コピーライティングでは、主にキャッチコピーとボディコピーを作成します。
キャッチコピーはユーザーが商品に関心を持つ“入口”の役割を担う短い文章で、ボディコピーは商品やサービスの中身を語る文章のことです。
自社の商品やサービスに関して読者やユーザーに良い印象を与えることが目的で、一瞬でユーザーの心を揺さぶり共感を得る言葉が必要です。飽くまで商品やサービスへの興味喚起を目指すものであり、基本的に購買意欲の促進は目的としていません。
一方で、セールスライティングは読み手の購買行動を促すことを目的としており、時に長文になることもあります。商品やサービスを購入することのメリットや信頼性、実際の評判など、ユーザーの心理を読み解き商品の魅力を多面的に伝えます。
つまり、商品のイメージを伝える技術がコピーライティングであり、商品をアピールして売り込むための技術がセールスライティングです。
他方で「コピー」という言葉には、「イメージコピー」と「セールスコピー」の2つの側面があります。つまり「コピーライティング」という言葉には解釈の幅があり、セールスライティングもその一部であると解釈することもできるのです。
イメージコピーは、テレビCMなどで見られるブランディングやイメージ向上を目指すコピーです。コピーと聞くと、このイメージコピーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
この記事ではイメージコピーをコピーライティングのベースとして、その都度補足する形でセールスコピーにも触れたいと思います。
なぜコピーライティングは必要なのか?
なぜコピーライティングが必要なのでしょうか。ユーザーと商品、そして企業をつなぐ言葉の重要性を解説します。
重要性
コピーにはイメージコピーとセールスコピーがあることは前述の通りですが、商品の本質を正確に伝えることで、ユーザーのニーズを満たすという点では目的を同じくしています。良い商品でも適切なコピーがなければ、その魅力はユーザーに伝わりません。
企業がインターネットを介して宣伝することが当たり前の現代では、ユーザーは事前に情報を得て吟味してから商品を購入します。その中でターゲットに自社の商品を訴求するには、コピーの力でユーザーの興味・関心を引くことが不可欠です。コピーを変えただけで売上や認知度が向上する例は多く、印象に残るコピーは顧客獲得に効果的と言えるでしょう。
つまりどんなに優れた商品でも、情報の正確な伝達と、ユーザーの理解を得るために、コピーライティングが欠かせないのです。
考え方
ユーザーの感情を揺さぶり、行動を促す良いコピーを作成するためには、商品やサービスの強みと、ユーザーの悩みを結びつけることが大切です。また、成功や満足といったベネフィットを提示することも効果的でしょう。
そのために、まずはユーザー心理を分析し、ユーザーの悩みや欲求を理解することから始めます。次に商品やサービスの強みを棚卸しして、ユーザーにどのようなベネフィットを提供できるかを考えます。
セールスコピーの場合は、ユーザーの悩みと商品の強みを結びつけ、具体的な解決策を提示してユーザーの欲求が満たされることを強調すると効果的です。
コピーライティングのスキル
コピーライティングに必要なスキル、「文章力」「コミュニケーション能力」「情報収集能力」について解説します。
文章力
コピーライターにとって重要なのは、書く力です。広告から商品説明、キャッチコピーまで、様々な形式の文章を駆使してターゲットの行動を導くメッセージに仕上げるスキルが欠かせません。
とはいえ、コピーライティングと文学の違いは理解しておく必要があります。コピーライティングは、言葉や文章を用いて読み手の気持ちを刺激し、行動変容を促す技術です。美しい文学的な表現よりも、端的にユーザーの感情を揺さぶる力が必要です。
文章構成力や語彙力が欠かせないのは言わずもがな、初心者は多くのコピーを書き、アウトプットするスキルを磨きましょう。クライアントの依頼内容を正しく理解し掘り下げる洞察力と、得られた情報を形にする構成力や表現力も文章を書く上で重要です。
コミュニケーション能力
コピーライターは単独で作業するものと思われがちですが、実際には様々な人との連携が必要です。
社内会議やヒアリング調査を行ったり、広告制作の際にはデザイナーやカメラマンと連携したりすることもあります。同僚やクライアントとのプレゼンテーションや意思決定プロセスにおいても、コミュニケーション能力は欠かせません。
また、コピーライティングは特定のターゲットの心を動かすために言葉を紡ぎます。ユーザーの要望を汲み取り、価値を的確に伝えるコピーを作成することも、ある種のコミュニケーション能力の成せる技と言えるでしょう。
情報収集能力
情報収集能力も、コピーライティングにおいて重要なスキルです。特にPRコンテンツの制作時には競合他社の広告リサーチが肝心で、ターゲットへの訴求プランを明確にする必要があります。
また、クライアントから情報を引き出すスキルも求められます。なぜなら、クライアント自身も気づいていない商品やサービスの魅力を発掘し、ターゲットに届けなければならないためです。そのためにも、業界について広く理解しておくことはもちろん、顧客心理や市場動向の把握も欠かせません。
他にも競合他社のマーケティング戦略の分析や、依頼に関する専門書を何冊も読み込むなど、収集すべき情報には枚挙にいとまがありません。
このように徹底して情報収集を行うことで、ユーザーの心を動かす言葉を生み出すことが可能となるのです。
コピーライティングの基本的なテクニック5選
コピーライティングの基本的なテクニックやコツをご紹介します。
1.ターゲットを明確にする
有名な商品のテレビCMでは、抽象的なキャッチコピーが使用されていることがあります。それが可能なのは、大多数の方が商品について知っている状態で、改めて説明をする必要がないためです。商品の知名度によっては、多少説明的になっても「伝えたいこと」を明確に表現しなければなりません。
そのためにも、キャッチコピーを作成する際はまず具体的なターゲット像を明確にし、ユーザーの悩みと、商品の強みを掛け合わせてコピーを考える必要があります。
2.数字を取り入れる
コピーに数字を取り入れることで、具体性が高まりユーザーに明確なイメージを与えることができます。ただし、数字を扱う際には信頼性と正確性を意識する必要があります。
「通算販売数1万個を突破したプロテイン」や「就職率90%以上の専門学校」のようなコピーの場合、合理的な根拠と計算方法の説明を添えるなどして、信頼を確立すると良いでしょう。
3.驚きと発見で興味を引く
一瞬でユーザーの心を掴むコピーが良いコピーとされています。そのためには、驚きと発見で興味を引くのが効果的です。
驚きや発見を生む一番の方法は、意外性を取り入れることです。予想外の結果や成果を提示することで、ユーザーの好奇心を刺激することができます。ただし、事実に基づいた表現を心がけてください。
4.シンプルを心がける
コピーライティングの基本的なテクニックは、無駄な言葉を省き、必要な情報だけを選ぶことです。クリエイティブさと伝えたいことのバランスを意識しましょう。
また、コピーライターの感覚を前面に押し出すのではなく、ユーザーに与える印象を第一に考えることが大切です。身近な人の言葉やSNSへの投稿などから、相手の心に響くフレーズとはどのようなものか、普段から考える癖をつけておくと良いでしょう。
5.ベネフィットを伝える
ベネフィットには、商品を使用することのメリットだけでなくユーザーの体験や満足感も含みます。このベネフィットを、商品に元々備わっている機能性にプラスして伝えるのがコピーの役割でもあります。
セールスコピーの例として、以下があげられます。
「洗浄力はそのままに約3倍濃縮した洗濯洗剤」
「旅行も通勤も出張もこれ1つ!圧縮機能付きバックパック」
このように、ユーザーの悩みに寄り添い、「商品を使うことで問題がどう解決されるのか」に焦点を当てるのがコツです。
コピーライティングの制作過程
コピーはどのように作られているのか、コピーライティングの制作過程について解説します。
ターゲット設定
コピーの目的は「伝えること」です。ターゲットを決め、企業イメージやメッセージを絞り込む必要があります。
そのために、具体的なペルソナ設定を行います。BtoBかBtoCか、年齢、職業、ライフスタイルなどを考慮し、商品やサービスがどのような価値を提供するのか考えます。
コピーは共感を呼び起こす手段です。ターゲット層のニーズや特性を理解し、ユーザーの心に響く適切なトーンでメッセージを届けましょう。
リサーチ
ターゲットを設定したら、対象者を深く理解するためにインタビューやアンケート調査などリサーチを行い、より多角的な情報を収集します。
オンラインを利用する場合、ターゲット層が利用するSNSの声を観察するのも有効です。ユーザーの不安や不満、問題点などを把握することができます。また実際の現場に訪れ、自分自身が商品やサービスを利用することで、新たな視点やアイデアを生み出すこともできます。
コピー作成
リサーチを終えたら、ノートやツールを用意して商品に関するマインドマップを描写しましょう。事前に考えていたターゲットの悩みや商品の強みの他に、気になる視点が見つかります。その後、ターゲットの悩みや商品の強み、そして新たな視点を組み合わせて、質より量で最低100本を目標にコピーを考えます。
そうして生み出されたたくさんのコピーを俯瞰してみましょう。ターゲットユーザーの立場になって目を引く言葉を探し、最終的に「伝えたいこと」が一番心に響く最適なコピーを選びます。
コピーライティングを学ぶための方法
コピーライティングを学ぶ際におすすめの本やWebサイト、資格をご紹介します。
おすすめの本
コピーライティングを学ぶために、まず押さえていただきたいおすすめの本はこちらです。
『最強のコピーライティングバイブル――伝説の名著3部作が1冊に凝縮! 国内成功100事例付き』
コピーライティングとマーケティングの基本が1冊に凝縮された本書。コピーライティングの名著と名高い『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング』の3部作を通じて、マニュアル的な要素や成功事例が豊富に盛り込まれています。
なんと言っても、コピーライティング初心者にもわかりやすい国内事例が挙げられているのが嬉しいポイント。効果的なコピーライティングとマーケティング戦略を学ぶのに適した一冊です。
実際に自分でコピーを作成しながら学習したいという方には、こちらの本がおすすめです。
『10倍売れるWebコピーライティング ーコンバージョン率平均4.92%を稼ぐランディングページの作り方』
Webコンテンツマーケティングの第一人者であるバズ部が手がけたこちらの本は、コピーライティングの基礎から材料の集め方、執筆までの手法をわかりやすく解説しています。
ユーザーの心に響くキャッチコピーのテンプレートや執筆の5つのステップなど、具体的で実用的な内容が詳しく書かれており、Web上でのコピーライティングの成功方法をこの1冊で網羅できます。
ブログの収益向上など、実践的な学びを求めている方必見です。
コピーライティングを学べるWebサービス
コピーライティングについて学べるWebサイトをご紹介します。
宣伝会議
コピーライティングを学びたい方におすすめなのが、コピーライター養成講座を開講する宣伝会議の公式サイトです。
宣伝会議のコピーライター養成講座は1957年から始まり、広告業界で高い評価を受けている講座で、プロのコピーライターが実務に役立つスキルを指導しています。
公式サイトでは、コピーライティングに関するイベントや無料体験講座の情報、調査データが読める書籍の紹介などを読むことができます。
コピーライティングの本質を学び、よりリアルなコピーライティング事情に触れたい方はぜひご覧ください。
SHElikes
SHElikesは、Webデザイン・Webマーケティング・ライティングなど、パソコン1つで行えるクリエイティブスキルを学び、今の時代に求められるマルチクリエイターを育てる女性向けのキャリアスクールです。
全40以上の職種スキルが学び放題で、様々なコースを組み合わせて学べば多角的にスキルアップすることができます。
コピーライティングコースでは、「コピー」の本質の理解とコツの習得が可能。日常や仕事で活かせる「言葉を磨く」スキルの習得が目指せます。
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資格
コピーライティングに関する資格は存在せず、資格も必須ではありませんが、「Webライティング能力検定」や「WEBライティング技能検定」といった、ライティングの知識とスキルを示す資格は存在します。
特にWebメディアでコピーライティングを活用したい方は、文章の品質や語彙力、ITリテラシー、そしてSEOに関する知識などが求められるため、資格を取得して自身のスキルを証明し、アピールすることは有用でしょう。
また、試験学習をする中で、新しい知識を得るだけでなく見落としていた重要なポイントに気づくことも、資格取得のメリットです。
よくある質問
ここでは、コピーライティングについてよくある質問をご紹介します。
コピーライティングの良い例は?
■良いイメージコピーの例
「そうだ京都、いこう。」(JR東海 京都キャンペーン)
1993年からJR東海沿線の町から京都への観光キャンペーンに使用されているキャッチコピーです。四季折々の風景とともに京都の魅力を伝えるCMは、旅行客だけでなく京都在住者にも好評を博しています。
人々が行動を起こしたくなるように影響を及ぼす、イメージコピーの象徴です。
■良いセールスコピーの例
「45年以上の研究による集大成。天然由来の有効成分でシワ改善、シミ予防」(再春館製薬所)*1」
漢方の医薬品・化粧品を製造販売する再春館製薬所の看板商品「ドモホルンリンクル」のセールスコピーです。商品を使用することで、ユーザーが得られるベネフィットが明確に表現されています。
コピーライティングとコンテンツライティングの違いは?
コピーライティングは、言葉や文章を用いてユーザーの感情を揺さぶり、行動変容を促す技術です。主に広告などに使われ、キャッチコピーの工夫や心理的アプローチが重要となります。
一方でコンテンツライティングは、情報提供や読者の知識向上を目的とした文章を執筆することです。SEO対策や読者の役に立つ情報を提供することに注力します。
いずれも文章を書く点では同じですが、その目的やアプローチの方法に違いがあります。
コピーライティングとはどのようなスキルセットが必要?
コピーライティングは、魅力的なコピーを書くために様々なスキルが求められます。文章力だけでなく、コミュニケーション能力や、ターゲットや市場の調査・分析力、論理的思考力、表現力が重要です。また、SEOの知識が必要となる場面もあるでしょう。
コピーライティングとは言葉で人の心を動かすスキル
人の心を動かすコピーライティングは、現代のビジネスに欠かせないスキルと言っても過言ではありません。
ユーザーの購買行動を促す言葉から、誰かの人生に影響を与える言葉まで、良いコピーを作成するには言葉の選び方と情報収集がカギです。
コピーライティングに興味をお持ちの方は、今回ご紹介したテクニックやコピーライティングを学ぶ方法を参考に、チャレンジしてみてくださいね。
※女性向けキャリアスクールSHElikes無料体験レッスンはこちら
※参考
*1.再春館製薬所ホームページより