女性の管理職キャリアについて考える人生とキャリアの両立と、マネジメントへの向き合い方

2022年11月20日に開催された日本最大級の女性リーダーサミット『INNOVATIVE WOMEN’S SUMMIT』。本気で世界を変えようと挑戦する起業家・トップリーダーたちによる、これから目指す未来や最新のビジネス動向についての特別対談を実施しました。

ここでは、熱狂に包まれた会場の様子をレポートします。

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今回のテーマは、「女性の管理職キャリア」。登壇していただくのは、エンターテイメント事業を手掛ける、株式会社GENDA代表の申真衣さんと、敏感肌化粧品ブランドの株式会社DECENCIA代表、山口裕絵さんのおふたりです。

女性管理職が増えてきたとはいえ、まだ少ないのが現実です。そんな中、管理職を経て現在は会社の代表として活躍するおふたり。ふたりはどのようにキャリアを重ねてきたのでしょうか?SHE株式会社の下垣恵が伺っていきます。

私たちも、最初は不安や迷いがあった

「今、現役管理職だよという方、手を挙げていただいてもいいですか?」

下垣の問いかけに、会場の数人が手を挙げました。SHElikesは20〜30代のミレニアル世代の女性がメインの受講生。現役管理職よりは、「管理職を目指すかどうか迷っている」という方が多いかもしれません。いま管理職として活躍されている方は、どんなきっかけで管理職になったのでしょうか。

「私が新卒で入社したPOLAでは、35歳頃に昇進試験を受けるかどうかが聞かれるんです。でも、最初は昇進に後ろ向きで……(山口さん、以下敬称略)」

早速、山口さんから意外な答えが。順調に昇進を重ね、現在は代表として会社を率いる立場の彼女に、いったいどんな迷いがあったのでしょうか。

「ちょうどその頃、子どもがほしいなって思っていたんです。それで、仕事と家庭の両立が不安で……昇進すると仕事のストレスが増えそうじゃないですか(笑)(山口)」

しかし、結果的に山口さんは試験を受けることに。そこには、パートナーの後押しがあったと言います。

「悩んでいるなら受けてみたらと言われたんです。大変なこともあるかもしれないけど、人生の選択肢が増えるのはいいことだから、と。それで、不安ながらもチャレンジしてみることにしたんです(山口)」

一方、申さんは管理職に興味はありつつも、なかなか自分からは言い出せなかったのだそう。

「漠然と『いつかは……』と思っていたけど、どのくらいスキルが必要なのか、どのタイミングなのか、具体的なイメージまではできていなかったんです。でも、31歳のときに尊敬する先輩から『この先どうしたいの?』と聞かれて。そのときに初めて、『マネージャーになりたい』と口にしました。でも、まだ早いって言われないかと内心ドキドキしていましたね(申さん、以下敬称略)」

今は会社の代表として活躍するふたりも、最初の一歩を踏み出すのは不安や葛藤があったようです。

最初から完璧じゃなくてもいい。マネージャーも、試行錯誤して成長する

勇気を出して、管理職への一歩を踏み出したふたり。しかし、最初から今のような活躍ができていたわけではない、と話してくれました。

「マネージャーになったばかりの頃、あからさまに私の昇進をよく思っていない後輩がいたんです。仕事上に必要な意思疎通もうまく測れなくて、ものすごく悩みましたね……。

でも、あるとき『これって北風と太陽だな』と気がついて。私が厳しくすればするほど、相手はどんどん頑なになる。そうじゃなくて、もっとその人自身を見るとか、サポートできることを探すとかで、心を溶かす方法はあるはず。色々試行錯誤した結果、信頼関係を築くことができました。かなり時間はかかりましたけどね(申)」

「申さんの話を聞いて、そういえば私もマネージャーになる前は、先に昇進した人を「羨ましい」と思ったことがあったなと思い出しました。でも、マネージャーになってから誰かにその気持ちをぶつけられると、悲しくなっちゃうんですよね。自分だって経験があったはずなのに。マネージャーになっても、メンバーのときの気持ちは忘れちゃいけないですね(山口)」

山口さんは他にも、「失敗ばかりしてきた」と打ち明けてくれました。

「失敗なんて売るほどあります。なんなら、今も失敗だらけです。自分でも納得ができないものを『上がこう言ってるからさ』とメンバーにお願いしてしまったり……。本当に良くないですね。

マネージャーも完璧ではないので、もし言っていることに納得できなかったら、『なんでこれが必要なんですか』って問いかけてもらえると嬉しいです。そしたら、ハッと気付くきっかけにもなる。マネージャーも、メンバーと一緒に失敗や反省を繰り返しながら成長しているんです(山口)」

管理職の方が、キャリアと人生を両立しやすい!?

試行錯誤しながらもマネージャーの経験を積み、現在は会社を代表する立場となったふたり。多くの部下を率いるふたりに、メンバーと接するうえで心がけていることを伺いました。

「何か課題が起こったとき、“to do”じゃなくて、“want to do”と捉えてもらえるように働きかけること、ですかね。私自身もそうですが、人って“to do”だけだとなかなか動けない。やりたいと思わないと、身が入らないんですよね。

そのために、普段から『この人はどんなことに興味があるんだろう』『頑張っていること、やりたいことはなんだろう』とひととなりを観察するんです。そして、何かをお願いしたいときはその人のひととなりと“to do”をかけあわせて、“want to do”に変換できるようにするんです(山口)」

「私は、年齢も役職も関係なく敬意を払って接すること、それと同じくらい、言うべきことは率直に言うことを意識しています。

また、代表の私だけが考えるのではなく、みんなで一緒に考えたいなと思っていて。どんな施策をしたら業績が伸びるかって、やってみないとわからないんですよね。私を含めて、誰も答えを持っていない。だから、みんなでいろんな角度から仮説を立てて、検証したほうがメリットが多いんじゃないかと思うんです。メンバー一人ひとりに自分ごと化して考えてほしいから、『指示は細かくだしすぎない』とか『考えを聞く』ことはよくしています(申)」

最後に、申さんからは「管理職の方がフレキシビリティが上がる」とちょっと意外なお話もありました。

「ある方から、『時々夜中も勤務のある仕事なんだけど、子どもができてからそれに参加できなくなった。しょうがないけど、周りからおいていかれている気がしてモヤモヤする』と相談をいただいたんです。そのときに、『あなたの部で一番上の立場の人は、夜中の仕事に来ているんですか?』と聞いたら違うとおっしゃっていて。でも、きっとその方は周りからおいていかれてないですよね。管理職になるって、こういうことなんです」

見方によっては、管理職の方がキャリアと人生を両立しやすいかもしれないーー。おふたりの話から、管理職に対するイメージががらっと変わった方もいるかもしれませんね。もし「チャンスは目の前にあるけど迷っている」方がいたら、一歩を踏み出すタイミングは、今かもしれません。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。