理想の世界観をプロデュース・具現化する方法

2022年11月20日に開催された日本最大級の女性リーダーサミット『INNOVATIVE WOMEN’S SUMMIT』。本気で世界を変えようと挑戦する起業家・トップリーダーたちによる、これから目指す未来や最新のビジネス動向についての特別対談を実施しました。

ここでは、熱狂に包まれた会場の様子をレポートします。

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今回のテーマは、「理想の世界観を具現化する方法」。登壇していただくのは、株式会社水星代表取締役、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんと、株式会社clairdecor代表取締役、ブランドデザイナーの川原あやかさんのおふたりです。

ホテルやマンションなど、“空間”をプロデュースしているおふたり。ただプロデュースするだけでなく、空間毎に独自の世界観を表現し、新しい価値をもたらしていることでも注目を集めています。彼女たちの感性を育ててきたものは?そして、どうやって理想を描き、空間に落とし込んでいるのでしょうか。SHE株式会社の小野寺夏美が伺っていきます。

好きや憧れだけじゃない。問題意識だって、事業をスタートする立派な理由

「実は、最初から空間をプロデュースしたいと思っていたわけではないんです(川原さん、以下敬称略)」

現在ブランドデザイナーとしてホテルやマンションなど、多くの空間をプロデュースする川原さんですが、空間プロデュースを手掛ける原体験は別にあると語ってくれました。

「小さいころからブライダルプランナーになりたくて、新卒で結婚式場に就職しました。でも、いざ働いてみると『結婚式には多額のお金がかかるのに、空間の知識もスキルもないプランナーの私が提案していいんだろうか、それだけの価値を私は生み出せているのだろうか』と思うようになって……。

良い結婚式をプロデュースしたいなら、まずは良い空間を作れるようにならなきゃいけない。そう思い、入社2ヶ月で会社を辞め空間の道に進むことにしたんです(川原)」

川原さんのきっかけを聞いて、「私も最初から空間に興味があったわけじゃなかった」と話すのは、ホテルプロデューサーとして日本全国のさまざまなホテルの空間プロデュースを行う龍崎さん。

「私の原体験は、小学生のとき家族で一ヶ月アメリカ横断ドライブをしたとき。これだけ聞くと、『めっちゃ楽しそう!』って思いますよね?でも当時小学2年生の私には退屈で。だって一日の大半を車に乗っているだけですよ?(龍崎さん、以下敬称略)」

龍崎さんの言葉に、笑いが溢れる会場。会場の様子に笑みを浮かべながら、話を進めます。

「そんな中楽しみだったのが、その日泊まるホテルだったんです。ドライブはつまらなかったけど、今日泊まるホテルはどんなところかなって想像するのは楽しかった。

でも、いつもホテルのドアを開けた先のある景色が同じだったんですよね。どのホテルも、ほとんど同じ空間。なんなら、日本で見た景色ともほとんど変わらない。ワクワクしていた分、がっかりも大きくて。お洋服にはたくさんデザインがあるのに、なんでホテルはどれも似たりよったりなんだろうって。その体験から、ただ泊まるだけの場所ではなく、選ぶ楽しみのある、付加価値のあるホテルの選択肢を作りたいと思うようになったんです(龍崎)」

小学生のころ抱いた夢を、大人になって実現させた龍崎さん。「なぜ、何年も同じ夢を持ち続けられたのですか?」という小野寺の問いには、このように答えてくれました。

ホテルに対する想いが、『好き』とか『憧れ』じゃなくて『問題意識』だったからかもしれません。『ホテルがもっとこうだったらいいのに、なんで誰もしないんだろう』って不満が大きかった。そして、私はその問題に気づいてしまったから、そのままにしておくのが気持ち悪かったんです。だったら、私が解決するしかない。そうしないと私が幸せになれないと思ったから。

一見ネガティブな理由に見えるかもしれませんが、私はこの『問題意識』がビジネスをするうえですごく大事な視点だと思っているんですよね。すべての人が問題に気づけるわけじゃない。気づいた人にチャンスがあるんです。“不”を感じるのだって、才能のひとつだと思います(龍崎)」

“センス”は地道な努力で磨かれる

続いての質問は、イメージを具現化するプロセス。理想の世界観を空間に落とし込むプロのふたりは、どんなプロセスでイメージを具現化していくのでしょうか?

「まずは、お客様の宿泊体験におけるキラーコンテンツになるものを探します(龍崎)」

宿泊体験のイメージにあるキーワードをいくつも出して、その中でも異質な、でもその土地の空気感を昇華し体現しているものを探り当てていくという龍崎さん。そこで残ったものを、空間に落とし込んでいると言います。そして、もう一つ大事なことがあると話を続けました。

「空間の良し悪しは、ほぼ平面図で決まるんです。素材やインテリアを考えることももちろん大事。でも、それ以上にこの空間でお客様はどう過ごすのか、どんな導線でどんな体験をしてほしいのかを考え、作り込むことの方が大事なんです。そこがしっかりしていれば、あとから良い空間がついてくるというか(龍崎)」

龍崎さんの話すプロセスに、川原さんも賛同します。しかし、「もともとセンスが良いふたりだからうまくいったのでは?」との疑問も。それについて龍崎さんは「ちょっと言ってもいいですか?」と声をあげました。

「私が一番最初に立ち上げたペンションの一室、壁紙がONE PIECE柄だったんですよ。海賊王の、ルフィーとかゾロとか描かれているやつ(笑)。そんなスタートなので、もともとのセンスの有無は関係ないかなって(龍崎)」

では、どうやってセンスを磨いていったのでしょうか。

「私は『Pinterest』で自分の好きなトンマナの画像を集めて、それを友達に見せて反応を伺っていました。顔を見れば、『めっちゃいい』のか『うーん』なのかわかるから(笑)。それを繰り返して、『めっちゃいい』の打率を少しずつあげていくんです。そういう練習を繰り返して少しずつセンスというか、イメージを落とし込めるようになった用に思います(川原)」

川原さんの回答に、「私もめっちゃPinterestやっている!」と龍崎さんも共感していました。

熱量のバトンパスで、世界観を磨き続ける

3つ目の質問は、空間プロデュースで特にこだわっていること。「まずは、予算度外視で企画書を作ること」と話すのは川原さん。

「イメージを具現化するには、インスピレーションが大事。そこで予算を考えてしまうと、最初から予算内でできることばかり考えてしまって、新しい発見が生まれにくくなってしまうので。まずは夢を広げて、お金のことはそのあとに考えていけばいいんです。そうすると、コンパクトでも研ぎ澄まされたものになっていきます(川原)」

「まさに川原さんの言う通りですね。あとは、その研ぎ澄まされた空間をどれだけ継続できるかも大事。

空間をつくっているときは熱量高くても、つくり終わって次のプロジェクトに移ると、その空間のことをどうしても忘れていっちゃうんですよね。そうすると、空間の輝きもどんどん失われていってしまう。継続するには、その空間に対して常に熱を持って接する人が必要なんです。だから私は各施設に熱量と裁量権を持ったブランドマネジメント担当をおいて、空間を磨き続けられる組織づくりも大事にしています(龍崎)」

熱量を伝えることを、「バトンを渡す」と表現した龍崎さん。川原さんも同じように、熱量のバトンパスを大事にしているのだそうです。

「たとえば、オフィスの内装をプロデュースするときは、そこに入居予定の社員さん全員にお会いするようにしています。そうやってひとりひとりに熱量を伝えることで、『実はこうしてほしい』と率直な“熱”をお伝えしていただけるようになる。地道なんですけど、それがクライアントの理想の世界観の実現につながると思うんですよね」

若くして起業し、20代にして唯一無二の空間プロデューサーとして成功。そんな「雲の上の存在」に見えるふたりをつくってきたのは、地道な努力の積み重ねでした。あなたも、自分の理想の世界観を実現したいのなら。ふたりのこれまでの行動に、そのヒントが隠されているかもしれません。

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