「可部(かべ)ちゃんって呼んでください」と明るく自己紹介をする彼女。
全身からエネルギーが放出されていた。
やっぱりキラキラしている。眩しい。
SHElikes卒業後はロゴデザイナーとして働きながら、パートナーと共にキャンピングカーで全国一周。今は古民家に定住しながら畑仕事にも手を広げているという。
ここだけ切り取ると、仕事もライフスタイルも自分の好きを追求できている印象を受ける。
わがままボディならぬ、わがままライフだ。いいなあ。
だが彼女の話を掘り下げていくうちに、初期のあまりのハードさに私は息を詰まらせた。
人気コラムニストジェラシーくるみさんによる
SHElikes受講生インタビュー
ロゴデザイナー 可部ちゃん
デザイナーに憧れていたものの、営業職としてハウスメーカーに就職。SHElikes入会後、半年でロゴデザイナーとして独立し、キャンピングカーで全国を回る。
しがないOLコラムニスト ジェラシーくるみ
会社員として働きながらコラムニストとしても活躍。リアルな恋愛観やアラサー世代の悩みを描き、多くの共感を集める。著書に『そろそろいい歳というけれど』『私たちのままならない幸せ』(主婦の友社)など。
Story
可部ちゃんが真剣に考えたきっかけは、介護休職をとったタイミングだった。
営業マンとして日々の仕事にストレスを感じながらも過ごしていたが、大きな契約が取れた瞬間さえ喜びは薄かった。
果たしてこれが自分のやりたい仕事なのかと、もやもやは募るばかりだったという。
そんな中、家族二人の介護・お世話をしてくれていた母が体調を崩し、予想もしていなかった「家族三人の介護」という巨大タスクが降りかかることになった。
先行きが見えない圧倒的な不安におしつぶされながら、可部ちゃんは半年の介護休職を取得した。
最初の数ヶ月はあまりに過酷すぎて、ほぼ記憶がないという。
だが実家に通い介護をする日々に慣れ始めてから、彼女は自分自身の人生について考える機会が増えた。
CareerChange
キャリアチェンジを考えながらも、よく見かける「月収いくら稼げる!」というきな臭い広告に辟易していた彼女だが、“SHE is no one.” というSHElikesのフレーズが当時の彼女の心に突き刺さった。
「もういい年齢だから、私は普通だから、という思い込みが解けたとき、私たちは何にでもなれる」
「人生なんて、いつどうなるか分からないし」という窮地に立たされた人間特有の大胆さが、彼女を突き動かした。

SHElikesには学習進捗だけでなく、自分自身の気持ちの変化と向き合う仕組みがきちんと整備されているという。
「最初はデザインスキルさえ学べればいいと思っていました。
でもスキルの前に、勉強の前に、自分の価値観に向き合う作業を継続することが重要だと痛感しました」

なるほど、SHElikesと他のスクールとの違いはそこなのか。
受講者が自分の学習スタイルを確立しながらモチベーションを保つための仕組み、そして己と向き合い続ける文化が醸成されているようだ。
では実際のSHElikes受講生活はどうだったのか。
営業の仕事を辞めて入会した可部ちゃんは、家族の介護と両立しながらも週5で「もくもく会」に参加し、毎日5-6時間はレッスンを受け、自分のスキルを磨き続けた。
というのも彼女は背水の陣で挑んでいたからだ。入会時に自分の口座残高とにらめっこをした結果「6ヶ月以内に転職する」と、覚悟を決めていたとのこと。

だが、そんな不屈の可部ちゃんにも、諦めそうになった瞬間はあったらしい。
入会して2ヶ月目のころ。ロゴデザインのコンペに徹夜して頑張って提出したものの、落選。
悔しさのあまり3日間落ち込んで、ギャン泣きした後は、怒りにも似た闘志が湧き上がってきたという。
彼女はめげずに、外部のロゴデザインコンペに参加した。


ええいダメ元だ、と思いながら提出すると、なんと結果は採用。
そこから仕事が広がり、徐々にラベルのデザインやブランディングの仕事をもらえるようになった。
「素敵なラベルを制作できるか不安でしたが、『やりきる!』と決意して引き受けました」
そうだった。
仕事のチャンスは、「これが特大チャンスでーす」という看板を引っさげて現れてくるわけではない。
打席に立ち、不格好でも空振りをしてもバットを振り続けるしかないのだ。
Traveling
SHElikesに入会して6ヶ月目。自分に約束した締切がすぐそこに迫っていた。
案件は断続的にとれていたものの、まだまだ将来への不安が強かった可部ちゃんは、パートナーから「キャンピングカーで日本回らない?」という魅力的な提案を受ける。
「もうそろそろ、自分自身の人生を考えてもいいんじゃないかな」
と言葉をかけてくれた介護スタッフのサポートを受け、1ヶ月に一度実家に帰るという約束を胸に彼女は旅に出た。

北海道から九州まで、キャンピングカーで日本を回りながら仕事を請け負う日々。
静岡のコワーキング施設では、企業ブランディングの師となる人とも出会ったという。
家と会社の往復の日々が、各地の空や景色、街を見る生活に。
限界OLのコンビニ飯が、誰かと一緒に食べる地元のご飯や自炊ご飯に。

そして、ロゴデザインの受注から、名刺デザイン、ステッカーづくり、SNS運用……と、どんどん自分の領域が広がっていく面白さ。
旅先で出会った地場産業の人たちと会話し、自分の手で仕事につなげていく興奮。

働く中での最大の喜びは、デザインお披露目の瞬間だという。
相手のうきうきした表情を見ると、言葉にならない喜びが突き上がってくるらしい。
「泣いてくれた人もいました」
相手の表情や声色から手に取るようにわかる、自分の介在価値。
ゼロから創り上げ、何度も試行錯誤を重ねて完成させたデザインなら、喜びもひとしおだろう。


では、もしSHElikesの入会を迷っている友人がいたら何と声をかけるだろうか。
キャリアスクールに入ったからと言って、誰しもが理想のキャリアを描けるわけではないだろう。
「そうですね、お金を払ったからと言ってスキルやマインドが手に入るわけじゃない」
可部ちゃんは冷静に分析する。

「SHElikesは人生を変えるための、数ある手段の一つ。本気で自分自身に向き合いたいって覚悟があるなら、向いていると思います。泥臭い努力は必要ですが、何かしら自分からアクションをすれば、その受け皿が用意されている環境なんです」
可部ちゃんいわく、就活対策用ではない本来の自己分析というものは、他者からの目線を取っ払って丸裸になり、自分の欲望や「やりたいこと」「やりたくないこと」を棚卸しする根気が必要だという。
心に何重にも蓋をしている、常識という数々の小石を一つずつ裏返して、疑い、取り除いていかなければいけないのだ。
デザインの技術だけでなく、とことん自分の欲望や性質に向き合い、受容する癖を身につけた可部ちゃん。
なりたい自分を追求する道は決して平坦ではなく、時には痛みを伴うが、その先には必ず新しい地平が広がっているようだ。

Afterword
私自身は、これまで「キャリア」と「自分の欲」を別物のように考えてきた。会社員の私はメールの山に埋もれながら安定を追い求め、コラムニストの私は自分の感じたことを自由に筆で表現する。
その二つが交わるなんてないだろう、とさっぱりつるつるした諦めにも近い思いを抱いていたが、彼女の話を聞いて、自分は安全地帯に逃げ込んでいただけかも、と気づかされた。
インタビュー中、終始笑顔だった可部ちゃん。
自分にとことん素直に、そして本気で生きる彼女に、ぐっと強く手を引かれた気がした。

STAFF
ライター/ジェラシーくるみ
編集/橋本 恵梨奈
デザイン/吉田 千晴
実装/阿部 美穂
ABOUT SHElikes
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