私は約10年間、大手製薬企業で新薬開発の仕事に携わってきました。退職後は、すぐに次の会社へ転職せず、半年以上仕事から離れる期間も経験しました。現在は、業務委託を中心に複数の組織と関わりながら、会社員時代より稼働時間を抑え、旅の予定にも合わせて働くスタイルをつくっています。
「転職先を決めてから辞めたほうがいい」
「35歳で空白期間を作ると、次の仕事は難しくなる」
「10年製薬業界にいたなら、次も同じ業界がいい」
会社を辞める前、私は上司や親、転職サイトのキャリアアドバイザーから何度もそう言われました。言われるたびに、「やっぱり先に次を決めないとまずいのかな」と怖くなりました。
10年積み上げたキャリアが無駄になるのではないか。35歳という年齢を考えると、選択肢は狭まるのではないか。
それでも、どうしてもすぐに次の仕事を決める気にはなれませんでした。今振り返ると、あの頃の私は「本当はどうしたいか」より、「こうするのが普通」という正解を探していたのだと思います。
「こうしなきゃ」が、私の選択肢を狭めていた
私は、収入も自由も諦めたくありませんでした。
仕事はしたい。でも旅行もしたい。数週間単位で旅に出たい。家族との時間も欲しい。心や体をすり減らさず、穏やかに過ごしたい。
けれど以前は、「全部は無理」と自分で打ち消していました。自由に働くなら収入は下がる。収入を維持するなら正社員。まとまった休みを取りたいなら、仕事を諦める。
先を決めずに辞めるのは怖い選択でした。それでも踏み出したのは、これまでの経験から、リスクを取ったときのほうが納得できる道につながると感じていたからです。
正解を選ぶのではなく、選んだあとに自分で正解にしていこう。そう考えました。
「空白期間は不利」という予想が外れた
退職後、半年以上仕事をしていない期間ができました。ところが、実際に仕事を探してみると想像とは違いました。
応募した企業では書類選考を通過して面談に進み、その中から複数の会社で業務委託の仕事が決まりました。希望した時給が通り、高い報酬を提示されることもありました。今は、会社員時代と同等以上の収入を目指せる形も見えています。
さらに、「先を決めずに会社を辞めたこと」を前向きに捉えてくれる会社もありました。先が見えない状況でも、自分で考えて動ける。その点を、創業間もない会社や0から1をつくる仕事で評価してもらえたのです。
私が「マイナスになる」と思っていた経験を、別の人は「強み」として見てくれました。同じ出来事でも、見る人や会社が変われば意味は変わる。「空白期間は不利」という言葉は、絶対的な正解ではありませんでした。
未経験でも、これまでの経験は生かせる
もう一つ手放せたのが、「10年製薬業界で働いたなら、次も製薬業界」という思い込みです。私は製薬会社でライターをしていたわけではありません。ただ、専門的な内容をかみ砕いて説明したり、相手に合わせて資料を作ったりすることは何度も経験してきました。
そこで、肩書きではなく「実際に何をしてきたか」を分解すると、「難しいことをわかりやすく伝える力」は別の仕事でも使えると気づきました。そこに加わったのが、SHElikesで学んだライティングやマーケティングです。
ライティングを学んだら、実際にライター案件へ応募する。マーケティングを学んだら、自分のSNS発信で試してみる。コーチングでは、やりたいことを言葉にして次の行動を決めました。もくもく会では、頑張る仲間と同じ時間に作業することで、「私もやろう」と手を動かすきっかけになりました。
学んで終わりではなく、学びながら試す。その繰り返しで、新しい仕事にも踏み出せるようになりました。今は、これまで培った「専門的な内容をわかりやすく伝える力」とSHElikesでの学びを掛け合わせ、専門的な内容を一般の人にも伝わる形にする仕事にも関わっています。
「こうしたい」と話すほど、理想が具体的になった
退職後、私は「旅をしながら働きたい」「ウェルビーイングに関わる仕事がしたい」と周囲に話すようになりました。
すると、旅をしながら働く人と出会い、仕事の取り方や旅との両立方法を聞けました。ウェルビーイングに関わる人を紹介してもらうこともありました。
さらに、「フリーランスも気になる」と話す中で、業務委託という働き方を知りました。
以前の私は、会社員を辞めて自由に働くなら、起業するしかないと思っていました。でも、組織の中で人と働くことは好きです。そんな私にとって、働き方を調整しながら組織と関われる業務委託は、自分に合う選択肢でした。
「こうしたい」と言葉にすると、情報が入り、人と出会います。実現している人を知ることで理想の解像度が上がり、次に何をすればいいのかも見えてきました。
我慢しない代わりに、自分の選択を自分で正解にする
現在は、会社員時代より稼働時間を減らして働いています。数週間旅に出るときも、関わる人に早めに予定を伝えることで仕事を調整できています。旅先で働くことも、すでに経験しました。会社員時代と同等以上の収入についても、実現できる形を調整しているところです。
数か月前まで「難しい」と思っていた暮らしに、想像以上に近づいています。ただ、「我慢しないキャリア」とは、何もしなくても好きなことだけできるという意味ではありません。
安定が保証されないなら、自分で仕事を探す。希望する報酬を得たいなら、自分の価値を言葉にする。新しい領域に挑戦するなら学ぶ。旅に出たいなら、早めに仕事を調整する。
私が大切にしたいのは、「自分の選択には自分で責任を持つこと」と、「選んだ道を自分で正解にしていくこと」です。収入か自由か。仕事か旅か。これまでの経験か、新しい挑戦か。
どちらかを最初から捨てるのではなく、「両方欲しいとしたら、どうすればできるだろう」と考える。それが、今の私にとっての「我慢しないキャリアの作り方」です。
まずは「何の制限もなかったら?」と妄想してみる
もし今、働き方やキャリアにモヤモヤしているなら、いきなり転職したり、仕事を辞めたりする必要はありません。まずは、年齢も収入も、これまでの経験も、周囲の目も横に置いてみてください。
何の制限もないとしたら、どこで、誰と、どのくらい働きたいですか。仕事以外の時間を、何に使いたいですか。思う存分妄想して、言葉にして、できれば誰かに話してみる。
私にとってSHElikesは、理想に近づくために学び、言葉にし、実際に試せる場所でした。
講座で学ぶ。コーチングで次の行動を整理する。仲間と一緒に手を動かす。そして、学んだことを仕事への応募や自分の発信で試す。
一人で「いつか変わりたい」と考えていたときより、行動につなげやすくなりました。「今とは違う働き方も気になる。でも、自分に何ができるのかわからない」
そんな人も、興味のあることを学び、小さく試す中で、思ってもいなかった選択肢に出会えるかもしれません。
我慢しないキャリアの最初の一歩は、大きな決断ではなく、自分にかけている「こうしなきゃ」という制限を外すことなのだと思います。
「本当は、どうしたい?」
まずはその問いに、遠慮せず答えてみるところから始めてみませんか。
************
本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 若奈さん)
SHElikesについて
https://cutt.ly/cwv7g0aJ
自分らしいキャリアのヒントに出会えるメディア、SHEsharesはこちらhttps://shares.shelikes.jp/




