30代半ば独身女性、猫のために「我慢しない働き方」を探してみた 

30代半ば独身女性、猫のために「我慢しない働き方」を探してみた

「まあ、いつでも辞められるけどね、私は」

仕事で理不尽な注意を受けたとき、どうにも合わない人間関係に疲れ果てたとき、私は心の中でほくそ笑む。仕事だけが、自分の人生ではないのだ。

そう、私の人生で大切にしたいものは、猫である。できることなら、もっと猫と一緒にいたい。猫が寝ているところを眺めたいし、猫の頭を嗅いで過ごしたい。

ところが理想は理想のままであった。現実を見ると、「いつでも辞められる」と言っているわりに、私にはほかの選択肢がほとんどなかった。何年も働いてきた職場を辞めれば、また一から仕事を覚えなければならない。転職しようにも、自分にはこれといった武器もスキルもない。「辞められる」と「辞めても大丈夫」は、どうやら別の話らしい。

そこで私は考えた。だったら、辞めるためではなく、気持ちを我慢して働き続けなくてもいいように、選択肢を増やしておこうと。

キャリアは「辞める・辞めない」だけじゃない 

仕事が嫌いなわけではない。生活のためにも仕事は必要だし、これまで頑張ってきたものを簡単に手放したいわけでもない。ただ、仕事よりも大切にしたいものがある。そちらにも、ちゃんと時間を使いたい。

しかし、悲しきかな。社会人になると、物事を考えるときの主語が「仕事」になりがちだ。

「仕事があるから」、「仕事を休めないから」、「仕事ではこうしなきゃいけないから」。

気づけば、自分の大切なモノより仕事の予定、自分の体調より仕事、やりたいことより仕事。発狂しそうである。

もちろん仕事も大切だ。でも、人生の主語がずっと「仕事」だと、わたしはしんどくなる。どちらかというと主語は「猫」にして、ときどき「自分」が主語になるくらいがいい。

「猫ともっと一緒にいたいから、こうしたい」、「猫と暮らす時間を増やしたいから、こういう働き方がいい」。以前の私だったら、そんなことをキャリアの条件にするなんて考えなかったかもしれない。でも、キャリアは仕事のためだけにあるものではない。

自分がどんなふうに生きたいか。そのために、どんな働き方を選ぶのか。それがキャリアという考え方ではないだろうか。

とはいえ、問題はある。なにしろ私は30代半ばを越えている。

「ここから新しい武器やスキルを身に着けるって、けっこう大変じゃない?」。そんな考えが頭の中でぐるぐると回っている。でも、家に帰って猫の顔を見ると、「やっぱり、もうちょっと頑張ってみるか」となる。

猫は何も言っていない。ただ寝ているだけである。それなのに、こちらは勝手に励まされている。こうして私は、自分のキャリアについて、もう一度考え始めた。

 30代半ば、自分の武器の増やし方

「我慢しないキャリアをつくるには、選択肢を増やせばいい」。そう思ったところで、次に出てくる問題がある。では、どうやって増やすのか。気合いでは増えない。

そこで私は、まず自分自身を整理してみることにした。

自分は何が好きなのか。これまで何をしてきたのか。そして、これからどんな生活をしたいのか。

考えてみると、私は絵を描いたり、漫画を描いたりするのが好きだ。そして、ひとつのことに集中して取り組むのも、比較的得意なほうだった。さらに、私には「猫と一緒にいる時間を増やしたい」という、かなり明確な希望がある。

となると、できれば在宅でできる仕事がいい。そこで出てきたのが、WEBデザインだった。パソコン一台でできる仕事なら、働く場所の選択肢も広がる。今の仕事を続けながら学ぶこともできる。

「これなら、猫のそばにいられる時間を増やせるかもしれない」

ところが、ここからが現実だった。WEB業界を調べてみると、30代半ばから未経験で飛び込むのは、なかなか一筋縄ではいかない。

「未経験歓迎」と書いてある求人を見つけて、「お、歓迎されてる。私もいけるじゃん」と喜んで詳細を見る。すると、そこには小さく、「実務経験者優遇」と書いてある。リモートワークも、未経験からいきなりできるほど甘くはなかった。

「在宅で働きたい」が、「在宅で働けるだけのスキル」がない。

だったら、「誰かに育ててもらおう」と考えた。30代半ば、未経験。独学でなんとかする方法もあるけれど、私には時間もない。経験者から学び、実績をつくり、仕事につなげるところまで一緒に考えてもらったほうがいい。

そうして私は、オンラインスクールで学ぶことにした。

 30代半ば、未経験からWEBデザイナーを目指して

私が選んだオンラインスクールは、女性向けキャリアスクールの「SHElikes」だった。決め手のひとつになったのは、ただ勉強するだけではなく、実際に仕事につながる経験をつくれる環境があったことだ。 

企業から実際の仕事の募集があり、コンペ形式で自分が制作したものを提出できる「お仕事チャレンジ」がある。もちろん、毎回採用されるわけではない。でも、制作したものを実績として残していける。わたしはお仕事チャレンジで、10個実績を作った。

そして、もうひとつ私がありがたいと思ったのが「もくもく会」だ。講師の方と他の受講生と一緒に制作物を黙々と作る時間だ。ただ黙々と作るだけではなく、講師に制作物を見てもらい、添削してもらったり、アドバイスをもらったりすることができる。

「ここ、なんとなく違和感があるんだけど、何が違うのかわからない」という、初心者によくある「なんとなく問題」にも、アドバイスをもらえる。一人で勉強していると、「これで合っているのか?」という疑問を抱えたまま進むことになる。そこが解消できることはありがたい。

さらに、もくもく会を通して、同じように未経験から始めた人たちが多いことを知った。ちょっとだけ声をかけて相談を聞いてもらったり、相手の制作物を見て、「こんなものが作れるようになるんだ」と前向きな気持ちになれる。

実際に仕事につなげた人の話を聞いて、「自分にもできるかもしれない」とモチベーションも上がった。つまり、スキルだけではなく、「自分にも選択肢を増やせるかもしれない」という感覚を持てるようになった。

もちろん、実績を作るのは本当にきつかった。簡単にできることではなかったし、何度か悔し涙も流した。「無理、やめたい」と思うこともあった。それでも、周りの受講生から熱意をもらったり、誰かが頑張っている姿を見て「やるしかない」と思えたりした。まだ、「WEBデザイナーになった」と胸を張って言えるほどではないし、ここから実績を積んでいく必要もある。

ただ、ここから「ここにいるしかない」と我慢しなくてもいいように、自分で選べる道を少しずつ増やしていきたい。たとえば、今の仕事を続けながら、働く時間の半分をWEBデザインの仕事にして在宅で働くとか。

そしていつか、本当に「まあ、いつでも辞められるけどね」と言えるくらいの武器を持っていたい。今度こそ、ちゃんと根拠を持って。

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本記事はSHElikesの受講生を対象とした「SHEライターコンペ」の採用作品です。(執筆者 いでさん)

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。